Oracle CloudWorld 2022 に参加してきました!

テーマカラーはOracle REDではなく、鮮やかなBLUE!

10/18~21 にラスベガスで開催された “Oracle CloudWorld 2022” に行ってきました!インパーソンでの開催は3年振りで、世界中から約1万2千人が集まっての白熱の4日間。名称も新しく “CloudWorld” となった通り、クラウド関連のリリースや話題が目白押しでした!

CEOのSafra Catz氏のキーノート

印象的だったのは、クラウドに関するサービスを縦(自社サービス)にも横(他サービスとの連携)にも拡充させてきたなという点です。

縦方向では ①Public Cloud、②OCI Dedicated Region(ユーザーのデータセンター内にOCIを導入)、③Oracle Alloy(新発表!OCIを箱モノとして提供し、ユーザーが独自サービスを提供したり、HWをカスタマイズ可能)とユーザーのニーズに応じたクラウド提供のモデルを選択できるように。ユーザーのシステムに求められる法規制や独立性、カスタマイズ性といった観点で利用するクラウドサービスが選べるようになりました。また、初日の Safra Catz氏のキーノートでは、NVIDIAとパートナーを組んで OCI上で “A100” や今後発売される “H100” のGPUを数万基搭載するという発表(Clay Magouyrk氏は “GPU Super Clusters” と表現)もあり、MLやAI分野での利用におけるOCIの優位性のアピールもしっかりありました。

Clay Magouyrk氏のキーノートにて、OCIの全体像 ※赤字は伊藤追記

横方向では他社クラウドサービスの連携としては ①MySQL Heatwave が AWS、Azureで利用可能に、②AWSとOCIのサービス連携(デモのみで詳細は未発表)、③Microsoft Azureとの連携アピールがあり、オラクルとして他社クラウドと双方向のサービス利用ができることを重視する姿勢を打ち出していました。この辺りは、前回参加した2017年の “AWS叩き” のメッセージとは180度方針が変わったなと思いました。実際、多くの企業がマルチクラウドを採用していたり、オラクルに先行する他社クラウドが既に導入されていることを考えると、良く言えば「ユーザー目線」、現実的には「足元を見つめた」方針転換という感想です。

その他では、勿論 Oracle Database 関連でもアナウンスがありましたが、一番の目玉は Oracle Database 23c の発表だと思います(但し、現時点ではベータ版)。3月の自分のポストでのこの予想は図らずも的中(笑)。Long Term Releaseの扱いになる点も予想通りでした。

今回も発表のメインはクラウド関連だと思いますが、やはりDBエンジニアとしては昨年の Oracle Database 21c に続く 22c の発表があるのかが気になります。現在の Long Term Release は 19c であり、Long Term Release 間の移行は約4年と言われているので、「(恐らく次の Long Term Release になる)23c に注力するから 22c はスキップ」なんてことがあるんじゃないかと心配しています。

今年はOracle CloudWorld開催!
お馴染みAndrew Mendelsohn氏のキーノート

いくつかある新機能の中では、In-Database Sagas というマイクロサービスを意識した機能が非常に面白そうでした。異なるインスタンス間で high level なトランザクション機能を提供。ローカルのインスタンスではコミット済みの処理を Saga で連携した先のインスタンスでキャンセル(Abort)すると、ローカル側の処理もロールバックされるというものでした。具体的な機能や制限については詳細の発表を待ちたいと思います。

イベント全体を通しては、これまでの「オラクル vs 他社」という構図から、「パートナーとの協調」や「他社クラウドとの連携」を前面に押し出しており、ユーザーや開発者のニーズに寄り添ったり、Larry Ellison氏のキーノートのように社会の課題解決により踏み込んだ取組みをアピールしたりと、「オラクルが変わろうとしている」ということを強く感じた4日間でした。

※ Oracle の YouTubeチャンネルでハイライトやキーノートを見ることができます!

今年はOracle CloudWorld開催!

こんにちは。
2020年、2021年とリアルでの開催が見送られていた Oracle OpenWorld ですが、今年は10月に Oracle CloudWorld と名称新たに、会場もラスベガスに変更しての開催が発表されました!

10月にコロナの状況やカナダ~米国の渡航制限がどうなっているのか分かりませんが、せっかく同じ北米にいるので現地(ダメでもオンラインで)参加できたらと、今年の楽しみが一つ増えました。また、JavaOne も同時開催となるようです。

今回も発表のメインはクラウド関連だと思いますが、やはりDBエンジニアとしては昨年の Oracle Database 21c に続く 22c の発表があるのかが気になります。現在の Long Term Release は 19c であり、Long Term Release 間の移行は約4年と言われているので、「(恐らく次の Long Term Release になる)23c に注力するから 22c はスキップ」なんてことがあるんじゃないかと心配しています。

もう一つは Exadata X9M の後継機も注目ですね。Exadata は枯れているようで、リリース毎に最新のHWとSW技術を盛り込んでいます。節目の10代目(V時代を入れると11代目)で大きな変更があるのかどうか。名称も「X10M」ではなくて「Exadata XXM」なんてことになったりして(もはや X が多過ぎてよく分からない)。

OpenWolrdには 2015年、2017年 と参加していますが、思い返すとさすが「コロナ前」のイベント。完全に「密」でしたね。だからこその「熱気」(しかも普段は裏方のDBAが集まった時の静かな熱気)が感じられるのが良いところです!更には、「withコロナ」でライブイベントがあるのか(誰が来るのか)というのも今後の発表の楽しみですね。

過去の Oracle OpenWolrd 参加の様子はこちらから
2015年:コーソル人事ブログ「OOW 2015 参加レポート vol.1」
2017年:コーソル人事ブログ「【Oracle OpenWorld 参加報告】18c自律型データベース発表!」

新発表!Oracleバージョン選定に朗報?

こんにちは。イトウです。
今年のOracle OpenWorldがオンライン開催となることが発表されました。これまでのサンフランシスコからラスベガスに会場を変更しての初回となるはずだっただけに、残念に思っている方も多いかもしれません。

ただ、先月アメリカで開催されたOracle Cloud Day 2020もオンラインで参加しましたが、時間や場所を問わず、自宅でコーヒーを飲みながらセッションを見られるのは良かったので、悪いことばかりではないと思います。無料で参加できるのも嬉しいですね。

さて、今月はOracle Databaseに関わるその他のニュースとして、製品ライフサイクルに関する発表がありました。それは “Innovation Release” と “Long Term Release” の2種類のリリースです。

Oracle Database 12cまでは約2~4年で大型のリリースが行われていましたが、18c以降は年1回リリースへ変更されていました。

Premier Supportのライフサイクルとしては18cと19cは12.2ファミリーに位置づけられ(18c=12.2.0.2、19c=12.2.0.3という扱い)、19cが12.2のTerminal Releaseとされていました。

11gから19cまでのリリースおよびサポートのスケジュール。Terminal Releaseを連続して選択できず、途中2~3年でアップグレードが前提のライフサイクルとなっている。

今回発表された “Innovation Release” と “Long Term Release” は従来の “Base Release” + “Patch Set Release” 方式に変わるものです。要点をかいつまむと次の通り。

“Innovation Release”
多くの機能強化や新機能を含むリリースとなり、新しいアプリケーションの開発や既存システムの拡張に有用なリリース。2年間のPremier Supportを提供し、Extended Supportはありません。

“Long Term Release”
5年間のPremier Supportと3年間のExtended Supportを提供することで、次のアップグレードまでのインターバルを長く取ることができる為、より高い安定性を求めるシステムに適しています。

狙いとしては、新機能追加やエンハンスメントをより頻繁にリリースすることだと思います。Innovation Releaseの間隔や回数は公表されていないものの、「Long Term Release から次の Long Term Release へのアップグレードは約4年になる」という説明もあったので、年次リリースが継続されるなら、Innovation Release 3回 + Long Term Release ということになるのかもしれません。従来の Base Release 1回 + Patch Set Release 1~3回 に比べると、その差は明らかです。

仮にInnovation Release3回で従来方式と比べると、より積極的な新機能追加が可能

一方、ユーザー目線では Long Term Release で Premier Support 5年、Extended Support 3年があらかじめ保証されているのは大きなメリットと言えるのではないでしょうか。これまでのライフサイクルでは、Terminal ReleaseからTerminal Releaseへと移行することが難しく(※)、途中のPatch Set Releaseを挟む為、2~3年に1回のアップグレードを前提にしたリリース計画でした。その為、アップグレードが難しい現場では Premier Support が切れた状態で利用を続けているケースも少なくなかったと思います。
(※)上記のサポート期間の表を見ると十分な Premier や 無償Extended 期間があるように見えるリリースも、途中で延長されたケースが多く、運用開始時点に保障されていた期間ではありません

新しいライフサイクルでのリリース予測とサポート期間。Innovation Releaseの回数や間隔は果たして…

Oracle のライフサイクルやサポートポリシーに関する変更はよくあることなので、ユーザー側で将来を予測しながら、自社システムのライフサイクルを考えるということは非常に難しいと思います。また、データベースをアップグレードする背景としては、新機能を利用したいと言ったポジティブな理由よりも、法令対応や老朽化対策、社内の他システムとの互換性維持といった「仕方なく」というケースが大半のように感じます。そして、そういうケースではタイミングを選べないことが多いだけに、バージョン選定において「安定リリース」(となるはず!)として用意された “Long Term Release” は一つの基準になるかもしれません。そんな期待を込めて、今回の発表は前向きなものと考えている次第です。

※製品のライフサイクル、リリーススケジュールに関する最新の情報は、オラクル社発表のこちらをご参照ください。
Release Schedule of Current Database Releases (Doc ID 742060.1)